BCPの策定に取り組まれている施設は多いかと思いますが、「いざという時、本当にこの計画でスムーズに動けるのか?」という不安や迷いを感じることはないでしょうか。
2024年4月のBCP策定義務化を受け、テンプレート等を活用して計画を整備された施設も少なくありません。
一方で、「策定したBCPが、実際の災害時にどれだけ現場で機能するのか」という点について、さらなる検討の余地を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
BCPは、作成して終わりではなく、現場で「使える状態」にすることで初めてその力を発揮します。
本コラムでは、「形としてのBCP」から一歩進み、災害時に職員が迷わず行動できるようにするための3つのポイントをご紹介します。
1.「読んでない・知らない」BCPは、ないのと同じ
策定直後は全職員に周知したはずのBCP。
気づけば「どこにあるか分からない」「読んでない」「新しい職員は内容を把握していない」…
こんな状態になっていませんか?
BCPが機能するかどうかは、現場の一人ひとりが「自分の行動計画」として理解できているかにかかっています。
逆に言えば、「自分は災害時にどんな行動をとるべきか」をイメージできていない職員が多ければ、その計画は「紙のままの飾り」となってしまいます。
✔ 今すぐできるアクション(例)
- BCPの要点を1枚の行動シートにまとめ、各職員に再配布
- フロア別・役職別に災害時の初動行動を整理した一覧表を作る
- 職員会議の冒頭に1〜2分のBCPクイズを毎月入れて、記憶に定着させる
こうした地道な取り組みが、「考えずに動ける」状態をつくる土台になります。
2.避難訓練だけでは補えない、災害時の「判断と連携」
BCPには「年1回の避難訓練を実施する」と記載しているケースが多いですが、それで十分だと思っていませんか?
確かに避難訓練は大切ですが、それだけでは現実の災害時対応はカバーしきれません。
たとえば…
- 地震でデイサービス中止を判断すべきか迷った
- 停電でリフトが止まり、トイレ介助の手順が混乱した
- スタッフ同士で連絡が取れず、情報共有に時間がかかった
こうした「リアルな混乱」に対応できるようにするには、「考える訓練」と「動く訓練」をセットにすることが必要です。
✔ 今すぐできるアクション(例)
- 「●●の時間帯に震度6の地震が起きたらどうする?」というシナリオ訓練を実施
- 夜勤者だけのタイミングでのロールプレイ(判断→連絡→記録)をやってみる
- 職員間で役割が曖昧だったポイントを訓練後にフィードバック
大切なのは、「うまくいかなかったポイントを見つけて改善すること」です。
訓練の目的は「完璧に動くこと」ではなく、「課題に気づくこと」です。
3.更新されないBCPは「現場とのズレ」を生む
BCPを策定してから半年、あるいは1年以上が経っていませんか?
その間に、配置図が変わった、担当職員が退職した、感染症対策が変わったなど、現場の運用は少しずつ変化しているはずです。
にもかかわらず、BCPが見直されないままだと、いざというときに「今と違う内容」が書かれていて混乱する原因になります。
✔ 今すぐできるアクション(例)
- 年に1回、「BCPの棚卸し」を職員全体で行う日を設定
- 「この内容、今と違うよね?」を現場職員から出してもらう機会をつくる
- 訓練の振り返りをそのままBCP改訂に反映する仕組みをつくる
BCPは「一度作って終わり」のものではなく、現場と一緒に育てる「生きた計画」です。
まとめ:BCPは「命と信頼を守る行動計画」
災害時、介護施設に求められるのは利用者と職員の安全を守ること。
でも、それはBCPが実際に機能して初めて可能になります。
作って満足していませんか?棚やパソコンの中に眠らせていませんか?
現場の職員が内容を知らないままになっていませんか?
BCPが「動ける計画」になるかどうかは、日々の小さな積み重ねで決まります。
今からでも遅くはありません。
「動けるBCP」を目指して、まずは1つだけでも見直してみてください。

