保育園・幼稚園・認定こども園において、BCP(事業継続計画)への関心が高まりつつあります。地震や台風、水害、そして感染症など多様なリスクに備え、子どもたちの命と安全を守る体制づくりが求められています。
保護者と信頼関係を築くうえで、BCPをどう伝えていくかは非常に重要です。本記事では、そのための工夫やポイントをわかりやすくご紹介します。
なぜ保護者へのBCP周知が大切なのか
災害や緊急事態が発生したとき、保護者が最も不安に感じるのは「子どもが無事か」「園がどのように対応しているのか」という点です。事前に対応内容が共有されていなければ、不安や混乱が広がり、園への信頼にも影響を与えかねません。
一方で、平常時から園の備えや対応方針を保護者と共有しておくことで、緊急時にも落ち着いて行動することができます。保護者と情報を共有することは、単に説明責任を果たすだけでなく、安心感と信頼の構築につながる重要な取り組みです。
保護者に伝えるべきBCPの主なポイント
すべてのBCP文書を保護者に開示する必要はありませんが、以下のような「知っておくと安心できる情報」を、分かりやすくまとめて伝えることが効果的です。
- 災害発生時の避難場所と避難ルート
- 園児を保護者に安全に引き渡すための手順とルール(引き渡しカードの使用や本人確認方法など)
- 連絡手段(電話、メール、保護者アプリ、災害用伝言板など)
- 安否確認の方法
- 保育者の役割分担や初動対応体制
- 備蓄品の内容(非常食、水、衛生用品など)
- 感染症流行時の登園判断基準や休園対応
特に、災害時に保護者が「どう動けばいいのか」「迎えに行くタイミングや方法は?」といった疑問に直結する項目を優先的に説明することが大切です。

効果的な周知方法とその工夫
1. 説明会の開催と配布資料の準備
年度初めや入園時の保護者説明会で、BCPに関する内容を簡潔に説明する時間を設けましょう。口頭だけでなく、図やイラストを使った資料を配布することで、理解しやすくなります。
・難しい専門用語は使わず、平易な言葉で説明する
・よくある保護者の疑問や不安に触れる
・スライド資料や印刷物は自宅に持ち帰ってもらう
また、質疑応答の時間を設けることで、保護者との信頼関係がさらに深まります。

2. 園だよりや掲示物で定期的に情報を発信
一度説明して終わりではなく、継続的に情報を発信することが信頼構築には欠かせません。たとえば、以下のようなタイミングでBCPに触れると効果的です。
- 避難訓練を実施したとき(例:「今日は地震想定の訓練を行いました」)
- 台風や豪雨が予想される時期
- 備蓄品の点検や更新を行ったとき
ちょっとした報告や写真付きの掲示物でも、保護者の安心感につながります。
3. 保護者アプリやWebツールの活用
連絡帳アプリ(コドモン、ルクミーなど)や保護者専用ポータルを導入している園であれば、BCPの情報発信にも活用しましょう。
- 非常時の行動フローを図にして配信
- 月に一度、「BCPコラム」のような形で定期配信
- 災害時の想定Q&Aの掲載
スマートフォンに直接届く情報は、紙よりも目に触れやすく、いざという時にすぐ確認してもらえるという利点があります。
園への信頼は「情報の見える化」から生まれる
保護者にとって、「自分の子どもが日常を過ごしている場所が、どのように緊急事態に備えているか」を知ることは、非常に大きな安心材料になります。
「この園なら安心して任せられる」と思ってもらえることは、結果的に園の信頼・評判の向上にもつながります。
まとめ:BCPは保育者だけでなく保護者とも「共有」するもの
BCPを策定しただけでは不十分であり、いかに保護者と共有し、理解と納得を得るかが実効性を高めるカギとなります。大切なのは、「伝える」だけでなく、「ともに子どもを守るパートナーとして共有する」という姿勢です。
園内での取り組みをきちんと伝えることで、保護者も園の一員としての意識を持ち、緊急時の混乱や不安を軽減できます。
📝 実践のヒント
- 保護者向け「BCPの要点まとめ資料」を作成して配布
- 年度初めの説明会で「BCP説明パート」を設ける
- 園だよりで定期的にBCPや訓練の内容を紹介する
- 保護者の声を反映する仕組みをつくる(アンケートなど)
今後、BCPの策定に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
園全体で安全と安心を育むための取り組みを、専門的な視点からサポートいたします。
