首都圏で大地震発生!帰宅困難者対策の現状と企業が取るべき行動

首都圏で大地震発生!帰宅困難者対策の現状と企業が取るべき行動

首都圏では、震度5強以上の地震が発生すると、公共交通機関の停止により膨大な帰宅困難者が発生するリスクがあります。特に、首都圏の交通網は鉄道に大きく依存しており、その規模は1日の鉄道利用者数が約4,500万人に達すると言われています。過去の災害事例からも、この問題が社会や企業に与える影響の大きさは明らかです。本コラムでは、帰宅困難者問題の背景、発生原因、そして企業が取るべき具体的な対策について掘り下げていきます。

目次

帰宅困難者の発生原因とその規模

膨大な鉄道利用者数が生む「首都圏の脆弱性」

首都圏では、鉄道が都市機能を支える基幹的なライフラインとして機能しています。通勤者の多くが1時間以上の移動を伴う長距離通勤を行っており、鉄道網が寸断されると、その影響は非常に広範囲に及びます。2011年の東日本大震災では、震度5強の揺れにもかかわらず、鉄道運休や一部停止により帰宅困難者が約515万人(内閣府推計)発生しました。これは交通網の停止だけでなく、都心部の過密状態や災害時の群衆心理が複合的に影響した結果と言えます。

首都圏において、ひとたび大規模地震が発生した際には、路上や駅周辺に膨大な数の帰宅困難者が集中し、二次災害の発生や救命・救助活動、消火活動等の妨げになることが懸念されています。

鉄道運休

過去の教訓から学ぶべき課題

東日本大震災における帰宅困難者問題

2011年に発生した東日本大震災では、多くの企業や自治体が帰宅困難者対策を十分に想定しておらず、大規模な混乱が生じました。行政施設や学校などが一時的な避難場所として活用されましたが、帰宅困難者の数が施設の収容能力を大幅に上回り、駅周辺での混雑や一時滞在施設の不足、さらに情報周知の不足が課題として浮き彫りになりました。

さらに、車両での送迎や企業が従業員の早期帰宅を促したことにより、交通渋滞や歩道の混雑といった問題も発生しました。これらの状況は、大規模地震発生時における救命・救助活動や消火活動の妨げとなるだけでなく、歩道の過密状態による群衆事故のリスクを高める結果となりました。

また、通信の輻輳(ふくそう)により携帯電話がほとんど使用できず、家族などの安否確認が困難だったことも、こうした混乱の一因と考えられています。

企業が取るべき帰宅困難者対策

1. 従業員の一斉帰宅を抑制する

東京都では、発災時にはむやみに移動せず、職場や学校などで3日間待機する「一斉帰宅の抑制」を呼びかけています。これは、道路や歩道が多くの人で埋まり大渋滞が発生することで、警察・消防・自衛隊の車両が速やかに現場に到着できず、人命救助のカギとなる72時間の救助・救命活動に支障をきたしてしまうこと、徒歩帰宅中に余震等で二次被害に遭う可能性を防ぐためのものです。尚、職場や学校等の身を寄せる場のない、買い物客等の行き場のない帰宅困難者は約66万人になると推計されています。

「発災後3日間は帰宅を控える」という指針に基づき、企業が従業員に対して待機を推奨することが重要です。これにより、救命・救助活動、消火活動を妨げず、二次災害や群衆事故のリスクを大幅に低減できます。

2. 社内の備蓄を充実させる

発災後3日間は救助・救命・消火活動を優先させる必要があります。そのために、企業は従業員等を社内へ安全に待機させるために、必要な備蓄を準備する必要があります。

  • 飲料水:1人1日3リットルを目安。
  • 非常食:カロリーメイトや保存食を少なくとも3日分。
  • 簡易トイレ:トイレが使用できなくなる可能性を想定し従業員数を踏まえて準備。
  • 防寒具や毛布:冬場の寒さ対策は必須。
  • 常用薬:持病で服用している薬などは社内に備えおくことを呼びかけ。
  • 情報端末:ラジオや携帯充電器で情報収集をサポート。

3. 従業員への周知と安否確認手段

  • 従業員への周知地震発生時の行動指針や、一斉帰宅を控える重要性について事前に周知しておきましょう。
    また、帰宅開始の順序などを事前に定めた「帰宅ルール」を策定し、従業員と共有することが効果的です。
  • 安否確認:東日本大震災では、通信の輻輳(ふくそう)により携帯電話が使えず、安否確認が困難な状況が発生しました。この教訓を踏まえ、災害時の安否確認手段を複数用意し、従業員に周知しておきましょう。さらに、従業員が安心して社内に待機できる環境を整えるため、家族との安否確認手段についても従業員へ事前に確認と周知を行いましょう。
災害用伝言板

まとめ:首都圏での帰宅困難者問題を防ぐために

首都圏における帰宅困難者対策は、企業・個人・地域社会の連携が必要不可欠です。一斉帰宅の抑制や備蓄品の整備、従業員への周知を通じて、災害時の混乱を最小限に抑えることが求められます。過去の教訓を生かし、今からできる準備を進めていきましょう。

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